いのちがいちばん輝く日~あるホスピス病棟の40日~

ドキュメンタリー映画「いのちがいちばん輝く日 あるホスピス病棟の40日」の本編映像に、柏木哲夫氏、細井順氏の対談映像を加えたスペシャルDVDを2019年8月中旬より販売開始しました。

 

劇場公開時(2013年)に故日野原重明先生よりいただいたお言葉をご紹介します。

「私は今まで、こんなに心の底から感動したドキュメンタリー作品は見たことがありません。普通に考えれば、死は当人にとっても、愛する家族や友人にとっても、最も悲しい場面であるはずです。でも、その死こそが『いのちがいちばん輝く日』なのだと、この映画は伝えています。」

-朝日新聞be 2013年3月30日掲載(抜粋)―

日野原重明さま (聖路加国際病院理事長) 

 




ホスピス病棟の日常を映し出した日本初のドキュメンタリー映画

 

本作は、新聞記者を経て、現在はテレビドキュメンタリー番組やCM、企業PR映像などの演出を手掛ける、奈良県在住の溝渕雅幸の劇場用 初監督作品。2008年夏、細井先生が出演するテレビ番組の制作を担当したのをきっかけで、ホスピスを舞台にしたドキュメンタリー映画の制作を着想する。2011年12月から40日間、スタッフとともに滋賀県にあるホスピス病棟の患者やその家族に密着して記録した映像は、初のホスピス施設の日常を描いた作品として大きな注目を集めている。

 

2012年/日本/HD/カラー/16:9/95分 


【監修者コメント】

「この映画はホスピスケアの原点を見事に描いている。映画の中で死を迎えた人たちは、それぞれ最期までしっかりと生き抜いた。病棟スタッフがしたことは、その生き抜くプロセスに『寄り添う』ことだった。ホスピスケアは寄り添うことが原点であると改めて教えてくれる素晴らしい映画である。」

-柏木 哲夫 氏-

金城学院 学院長 淀川キリスト教病院名誉ホスピス長

公益財団法人日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団理事長

 

 

「この映画は我々の思いを遥かに超えた形で『いのち』を表現している。混迷した時代を生きる多くの人々にとって、希望の灯火とならんことを切に願いつつ、今は天国に住まう患者さんの祈りを添えて、世に送り出そう。」

 

-細井 順 氏-

ヴォーリズ記念病院 ホスピス長

 

 



ストーリー

六回目の冬を迎えようとしているホスピス「希望館」。終末期を迎えたがん患者のための医療施設である。しかし、入院患者やその家族たちの表情はとても穏やかで、笑顔も見られる。与えられたその日一日を精一杯生きてもらうためのケアが、希望館のスタッフたちによって実現しているのだ。

 

ホスピス医の細井順さんは白衣を着ない。それはがんを患った自身の経験から、「患者も医者も同じ弱さを持った人間同士」であるという考えに至った結果だ。細井さんは目線を合わせて患者の「痛み」や「寂しさ」に寄り添う。

 

ある日、外来通院を続けていた一人の患者が入院する。その日から細井さんをはじめ病棟スタッフたちの、患者とその家族に「寄り添う」ケアが始まる。残された時間を大切に生きてもらうために・・・。

 

出演者

細井 順 先生

ヴォーリズ記念病院 ホスピス長。 1951年生まれ。45歳の時、父親を ホスピスで看取ったのきっかけに 外科医からホスピス医に転身。 

 

 

 


池本 成博さん

近江八幡市の高校の元音楽教師。首の付け根にがんの腫瘍が見つかり、余命1年と宣告された中、希望館に入院。生まれたばかりの二男の孫に一目会うため、東京までの旅行を計画する。 

 

川岸 智子さん 

乳がん患者。入院当初は不安やいらだちがあったが、ハーモニカを手に昔を思い出すように演奏する。 

 


西村 史郎さん 

肺がん・肺気腫を併発、激しい呼吸苦と闘いながらも、たわいもない冗談で雰囲気を明るくする。 

 

田邊 えみ子さん 

入院して4カ月を迎える。がんは全身に広がっているが、思いのほか順調で、院内の行事手伝いや年末年始の外出の許可も出る。 

 



プロダクションノート

 

ドキュメンタリー番組や企業VPの演出を手掛ける溝渕雅幸氏と、ヴォーリズ記念病院でホスピス長として勤務する細井順氏。二人の出会いが、ドキュメンタリー映画「いのちがいちばん輝く日」~あるホスピス病棟の40日~を生み出した。


人の出会いは2008年夏、細井氏が出演したあるテレビ番組の制作を溝渕監督が担当したことに遡る。同番組を通して伝えたかったもの。「生命」と漢字で書くいのちと、「いのち」と平仮名で書くいのちとは別のものであるということ。ホスピスで「生命」は終わりを迎えても、「いのち」は終わることなく受け継がれていくということを多くの人たちに伝えたかった。しかしテレビ番組で表現できることには限界がある。いつの日か、ホスピスを舞台に「いのち」をテーマにしたドキュメンタリー映画を作れたら・・と二人の夢は広がっていく。

 


それから3年の月日が経った2011年11月、何人かの協力者と、独立行政法人日本文化芸術振興会の助成金を得ることが出来、いよいよ「いのち」をテーマにしたドキュメンタリー映画の制作がスタートした。助成金を得たとはいえ、全体予算の3割にも満たない。また、ホスピスでドキュメンタリーを撮るためには、患者さんの容態に合わせて動かなければならず、溝渕監督とカメラマンという最低限のスタッフ、24時間体制で、病院構内にある古びた独身寮に泊まり込んでの撮影となった。

ホスピスサイドでは管理者会議を開き、映画の趣旨をふまえて協力していくことを確認。しかし、医療者とは異なる撮影クルーが病棟内を歩く不自然な状態では患者さんや家族からの協力を得られない。また、ホスピスについての知識やこの病棟での毎日の流れを掴んでいないと肝心な場面を取り損ねることにもなりかねないということで、撮影スタッフの2名も、ケア記録者という資格でグループケアの一員に加わることになった。


撮影をスタートする2週間ほど前からホスピス病棟に出入りし、職員と同じ様式の名札をつけ、朝の看護師の申し送り、午後のカンファレンスにも参加。細井氏の診察にも付き合い、患者さんをお見送りする際に行っているお別れの会にも参加し、ホスピス病棟とその日常に馴染んでいった。

 
こうして準備が整い、2011年12月、撮影はスタートした。


撮影を続けながら、12月も半ばになり、映画のテーマを理解して協力していただけるご一家に出会った。高校の音楽教師をしていた池本成博さんとそのご家族である。こうして、池本さん一家を映画の中心に据えることが決まった。


1月も半ば、池本さんのお別れの時が近づいていた。その日、夕食を済ませ、夜間の撮影体制を話し合っているときに池本さんの看取りの時を迎えた。病室へ向かうと、奥さん、子供さん、お孫さんが嗚咽とともにお別れの言葉を述べていた。その時、カメラは確かに、人から人へ、いのちが受けつがれていくその瞬間を捉えていた。



主なスタッフ

 

監督:溝渕雅幸

福岡で生まれ大阪・奈良で育つ。
大学を中退後、大阪の夕刊紙勤務を経て映像制作の現場へ。1990年より監督としてCM、企業PR映像、教育映画、TV番組など数多くの作品を演出。
現在次回作として、小児ホスピス、在宅ホスピスを舞台としたドキュメンタリー映画を企画中。『生』と『死』の持つ意味を問い、見つめる作品作りを進めている。



撮影:長谷川智章

1969年6月16日大阪市生まれ 企業PR映像や商品紹介映像、CM撮影の他、モータースポーツや舞台、ダンスなどのライブ撮影、そしてドキュメンタリーの番組やビデオパッケージの撮影に携わる。 2011年にチェンバロ奏者高田泰治氏のドキュメンタリー映画で溝渕監督と久しぶりに組む。


録音・整音:吉田一郎

1953年8月22日生まれ
18才 峯尾スタジオ(東京)入社
21才 大阪スタジオ入社
37才 ガリレオクラブ設立
2001年 ビデオ作品「六甲山荘」 アメリカテリーアワード受賞 ドイツハンブルグ映画祭 受賞
2007年「未来世紀ニシナリ」キネマ旬報 文化映画第3位
2012年「幼なじみ」第10回中ノ島映画祭 グランプリ受賞
その他数々の映画・TVCM等を手がける



スタッフ

監督:溝渕雅幸

撮影:長谷川智章

録音・整音:吉田一郎

 

製作統括:武本 誠治

プロデューサー 山田 哲夫

監修:柏木哲夫/細井順

撮影助手:木村 将人

編集:小林 弘典/斉内 聡

英語字幕版編集:坂野 元秀

ナレーター:みるき 

 

題字・イラスト:溝渕 眞一郎

宣伝デザイン:平 利加子

翻訳:小林 かをり

配給宣伝協力:浦安ドキュメンタリーオフィス

制作・著作・配給:「いのちがいちばん輝く日」上映委員会 

 

助成:文化芸術振興費補助金

製作:有限会社オフィスアクシス/アールズスタッフ

制作協力:公益財団法人近江兄弟社/ヴォーリズ記念病院/株式会社シムス

後援:公益財団法人日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団

 

2012年/日本/HD/カラー/16:9/95分

 

英語表記

 

Title:The Last Blossom of Life
Production Company:Office Acsis Co., Ltd/R’s STAFF

劇場公開時(2013年)に故日野原重明先生よりいただいたお言葉をご紹介します。